夏の夜は更けて / A late night in Tokyo
写真のことがよく分からない。
そんな状況になってからもう2年くらい経つ。
綺麗に撮りたい。でも綺麗って一体何だろう。
自然に撮りたい。でも自然って何だろう。出口のない霧の中にすっかり迷い込んでしまったようだ。
iPhoneの性能も、Instagramのフィルターも進化して
誰でも素敵な写真が撮れるようになった今、自身を写真家として認識する人が撮るべき写真は、
どんな写真だろうか。そもそも写真って何だろうか。そんな思いを患いながら、
俳優の友人たちと近所を徘徊する、蒸し暑い夏の夜。
渋谷の安い居酒屋で
答えのない会話を重ね、どうにかして自分達の居場所と存在意義を確認し合った僕たちは、
華金で浮かれた東横線に滑り込んで自由が丘へ帰ってきた。こうやって、
僕の夏の夜は更けていく。気がつけばもう2am。
悲しいかな、朝が来るまでに答えが見つかりそうな兆しはなし。
こんな状況でも一つ言えること。
それは周りの人に恵まれていること。苦悩を打ち上げられる相手がいること。
それはとても幸せなこと。おかげでまた1日、
写真家として夏を過ごすことができるから。
撮影: Dan Kotaro
撮影機材: LUMIX GH5、ライカ DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH. ブラック H-X015-K
撮影地: 東京自由が丘